スクールカーストは不登校の原因になる?現役教員がデータを読み解く

スクールカーストは不登校の原因になる?現役教員がデータを読み解く

教室がしんどくて、行けなくなった。これは自分だけなのか。

先に結論を書きます。統計には出にくいけれど、現場では確実にあります

最新のデータと、教室で見ている実感の両方から書きます。

※学校に行きたくないときにできることは、学校に行きたくないときの対処法(選択肢の全まとめ) に1本でまとめてあります。

不登校は過去最多を更新している

まず、人数の話です。

文部科学省の最新調査によると、小中学校の不登校は35万人を超え、過去最多です。

項目数字
小・中学校の不登校353,970人
増加の傾向12年連続で増加
増加率(小学校)5.6%(前年度は24.0%)
増加率(中学校)0.1%(前年度は11.4%)

出典は文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」です。

注目したいのは、増え続けてはいるものの、増加の勢いは落ちている点です。

学校に行かないという選択が、以前より特別ではなくなってきた、ということでもあります。

データ上の1位は「やる気が出ない」

では、理由は何とされているのか。上位はこうなっています。

順位要因割合
1位学校生活に対してやる気が出ない30.1%
2位生活リズムの不調25.0%
3位不安・抑うつ24.3%

これを見て、「やっぱり本人のやる気の問題か」と思われるかもしれません。

ここから先が、この記事の本題です。

統計は、言葉にできたものしか拾えない

不登校の要因として統計に出るのは、本人や学校が言葉にできたものだけです。スクールカーストは空気なので、いじめとして記録されにくく、やる気が出ないに分類されます。
出にくいことと、ないことは別

教室で見ている立場から、正直に書きます。

「やる気が出ない」の中身が、人間関係であることは非常に多いです。

理由は単純です。統計は、本人や学校が言葉にできたものしか拾えません

理由が言えないのが普通

生徒に「なぜ行きたくないの」と聞いても、答えられる子の方が少ないです。

理由が1つではないからです。小さなしんどさが積み重なっているとき、人はそれを言葉にできません。

そして、言葉にできないものは、調査票では「やる気が出ない」に分類されます

いじめのようにはっきりした出来事がないと、人間関係として記録されにくいのが実情です。

だからカーストは統計に出にくい

スクールカーストは、暴力でも暴言でもありません。空気です。

誰かに何かをされたわけではないので、本人も「いじめられている」とは言いません。

それでも、毎日確実に削られていきます。

つまり、統計に出にくいことと、原因になっていないことは、まったく別です。

中学校で増えるのはなぜか

不登校は中学校で大きく増えます。カーストとの関係でいうと、理由ははっきりしています。

中学校から、教室の序列が強くなるからです。

なぜ強くなるのか。人数でも学年でもありません。答えはこれです。

1年間、同じメンバーで過ごすから

環境人の入れ替わり序列の強さ
小学校少ない(ただし関係は個人単位)弱い
中学校ほぼない(1年固定)最も強い
高校進学で顔ぶれが変わるやや弱まる
大学・職場多いほぼ生まれない

大学でカーストの話をあまり聞かないのは、人が入れ替わるからです。人格が変わるからではありません。

前兆は、生活の側に出る

保護者の方に向けて書きます。カーストが理由で行けなくなる前には、前兆が出ます。

ただし、学校の話ではなく、生活の側に出ます

  • 夜、寝る時間がどんどん遅くなる
  • 朝、起きてこない日が増える
  • 学校の話題になると部屋に戻る
  • 「宿題どうするの」に返事をしなくなる

生活リズムの乱れは、原因ではなく結果であることが多いです。

そして先ほどのデータでは、生活リズムの不調が2位に来ています。ここもつながっています。

学校より先に戻るものがある

行けなくなったあと、どう戻っていくのか。順番があります。

いきなり学校に戻ることはありません。先に戻るものがあります。

  • ベッドから起きられるようになる
  • 部屋から出られるようになる
  • 家族と話すようになる
  • 外に出られるようになる

学校は、そのずっと先です。

「今日は学校に行けたか」ではなく「今日は部屋から出られたか」で見てください

段階を細かくするほど、進んでいるものに気づけます。学校だけで測ると、全部見えなくなります。

支援機関につながっても、劇的には変わらない

期待をあおらないために書きます。

教育支援センターやフリースクールにつながった子がどうなるか。いちばん多いのはこれです。

そのままです。特に悪くなるわけでも、劇的に良くなるわけでもありません。

ただ、そのまま受け入れられること自体に意味があります

「つながれば解決する」と思って動くと、しんどくなります。見てくれる大人が1人増える、くらいが実際です。

原因が教室にあるなら、教室を変える

ここまでを整理します。

カーストが強くなるのは、1年間同じメンバーで過ごすからでした。

ということは、メンバーが固定されない場所に移れば、そもそも発生しにくいということです。

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その前に、どんな学校なのかを知っておきたい人は N高等学校ってどんな学校? をどうぞ。

まとめ|統計に出にくいだけ

  • 不登校は35万人を超え、過去最多。ただし増加の勢いは落ちている
  • データ上の1位は「やる気が出ない」30.1%
  • ただし統計は、言葉にできたものしか拾えない
  • カーストは空気なので、いじめとして記録されにくい
  • 中学校で強くなるのは、1年間同じメンバーで過ごすから
  • 前兆は学校の話ではなく、生活の側に出る
  • 学校より先に戻るものがある。ベッドから起きる、部屋から出る

あなたのしんどさが統計に出ていないのは、存在しないからではありません。

言葉にしにくい形をしている、というだけです。

なお、いま強くつらい気持ちがある場合は、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に電話してください。

参考記事