通信制高校の記事は「人生終わり?」「やめとけ?」という不安の話ばかりです。
でも現役教員として、正面から言いたいことがあります。通信制高校は、環境として本当によくできています。
この記事では、教員が通信制を強くすすめる理由を、教室の構造から解説します。
そもそも中学・高校の教室が特殊すぎる
通信制の良さを語る前に、前提をひっくり返させてください。
「毎日、同じメンバーと、同じ部屋で、何年も過ごす」——これは社会に出たらまず存在しない環境です。
会社でも、どんなに長いプロジェクトでもせいぜい1年程度。何十年も同じメンバーで固定されることはありません。
そして何より、嫌なら転職すればいいだけの話です。
つまり異常な環境は教室のほうなんです。それをわざわざ乗り越えなければいけない理由は、実はどこにもありません。
カーストの強さは「流動性」で決まる
教室でスクールカーストが生まれるのは、誰かが意地悪だからではありません。人間関係が動かないこと=流動性の低さが原因です。
| 環境 | 流動性 | カーストの強さ |
| 中学・高校の教室 | とても低い(1年間固定) | 強い |
| 会社 | 中くらい(異動・転職できる) | 弱い |
| 大学 | 高い(毎回メンバーが違う) | ほぼ無い |
| 通信制高校 | 高い(固定クラスがない) | ほぼ無い |
大学にカーストがないのは、みんなが大人になったからではありません。固定された教室がなく、毎回同じ場所で授業を受けず、サークルも嫌なら辞められるからです。
小中高は、あえて流動性を下げている
では、なぜ小中高だけ流動性が低いのか。答えは身も蓋もありません。
先生が一元管理して、子どもを見やすくするためです。
つまり教室の窮屈さは、教育上の必要というより管理の都合から来ています。
通信制高校が優れている4つの理由
理由1:カーストが生まれる土壌がない
固定クラスがないので、序列が凝り固まる時間そのものが存在しません。カーストは時間をかけて固まるものなので、固まる前に関係が入れ替わる環境では発生しないのです。
理由2:人間関係を自分で選べる
ネット部活やスクーリングなど、つながる場を自分で選べます。「たまたま同じクラスになった人」ではなく「好きなことが同じ人」と出会える形です。
理由3:時間を自分の武器づくりに使える
教室で気を使うために消えていた時間が、まるごと自由になります。勉強、創作、資格、好きなことの追求に使えます。
教員として学生時代の自分に言いたいのは、まさにこれです。周りを気にせず自分の好きなことを突き詰めれば、それは専門性という資産になります。
理由4:大学というゴールにつながっている
通信制で自分のペースで学び、推薦入試なども視野に入れながら、カーストのない大学から新しい人間関係を始める。
これは逃げではなく、戦略的なルート設計です。生徒数日本一のN高等学校のように、進学実績とブランドを持つ学校もあります。
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その前に、どんな学校なのかを知っておきたい人は N高等学校ってどんな学校? をどうぞ。
正直に言う|向いていない人もいる
全員におすすめするつもりはありません。次の場合は慎重に考えてください。
- 自分でペースを作るのが極端に苦手な人:管理されないと動けない自覚があるなら、しんどくなる可能性があります
- 大人数でわいわいやる時間を大事にしたい人:進学校の部活のような「オフラインで大人数」の機会は減ります
- 思い立って数日で決めようとしている人:衝動の可能性があります(判断基準の記事)
通信制に移った子は、なんと言っているか
教員として何人も見送ってきましたが、移った後に連絡をくれる子は、だいたい「移ってよかった」と言います。
理由はシンプルで、「勉強に集中できるようになった」「手元のストレスから解放された」というものです。
もちろん全員を追跡できているわけではありませんし、合わなかった子もいます。それでも、「全日制に残った方がよかった」と言われたことは、私はまだありません。
見送るときはいつも、その決断が良い方向に向かうよう祈っています。そして最後に必ず伝えるのは「選んだ道を、自分で正解にしてください」です。
まとめ|異常なのは教室のほう
- 毎日同じメンバーで何年も過ごすのは、社会にはない特殊な環境
- カーストの強さは流動性で決まる。通信制と大学は流動性が高い
- 通信制の価値は「時間」と「人間関係を選べること」
- 向き不向きはある。ただし「逃げ」ではなくルート設計
環境を変えることを考え始めた人は、カーストから抜け出す選択肢の記事もあわせてどうぞ。
学校の特殊な環境を、わざわざ乗り越えなきゃいけないことはありません。それだけは覚えておいてください。
